コーンポタージュはなぜスープの王様になったのか
コーンポタージュはなぜスープの王様になったのか
ミネストローネにクラムチャウダー、ヴィシソワーズにポトフまで、私たちの周りには美味しいスープがたくさんあります。でも、老いも若きも、男性も女性も、皆が大好きなスープといえば、やはりコーンポタージュではないでしょうか?ホテルやレストラン、洋食店などでいただける本格的なコーンポタージュから、お湯を入れるだけのカップスープに自動販売機の缶スープまで、スープといえばコーンポタージュ。コーンポタージュは、もはやスープの王様といっても過言ではありません。
その魅力が日本人に知れ渡ったのは、古き良き昭和の頃。懐かしの洋食と言われて、コーンポタージュを挙げる人は少なくないでしょう。では、なぜコーンポタージュはここまで人気になったのか?今回は、そんな秘密に迫ります。
コーンポタージュは日本限定!?
こんなに愛されているコーンポタージュですが、じつは謎の多い、ミステリアスな存在でもあります。その一つが、海外ではほとんどコーンポタージュを見かけないこと。日本人にとってコーンポタージュは、ザ・洋食。「フランス料理が原点」と思っている方も多いのではないでしょうか?しかし、フランスにコーンポタージュはありません。「まったくない」と言い切ることはできませんが、少なくとも一般的ではないようです。昭和の日本人は、ひと口スプーンを口に運んでは、はるかなるフランスに思いを馳せたであろうに、まさかの日本発祥疑惑。とはいえ、日本発祥という確かな記録もなく、コーンポタージュの謎は深まるばかりなのです。
コーンポタージュは輝かしい世界の味
かすかな手がかりとして、昭和35年に発刊された「スープの本」というレシピ集があります。これは250種ものスープのレシピを集めたレシピ本で、この中に現在のコーンポタージュに似たスープが収録されているのです。昭和30年代といえば、ちょうど日本が戦後復興を果たした頃。昭和31年には「もはや戦後ではない」という言葉が流行語となり、日本の人々はようやく、世界に目を向け始めたのです。「ALWAYS 三丁目の夕日」で描かれたように、人々がテレビや洗濯機、冷蔵庫など、新しい未知のものに胸を高鳴らせた時代です。そんな時代にあって、バターの風味が香るコーンポタージュは、まさに輝かしい世界の味だったのではないでしょうか?コーンの優しい甘さと、生クリームの濃厚なコク。これまで食べたことのない味に、人々が夢中になったとしたとしても不思議ではありません。とはいえ昭和どころか平成も終わり、令和という新時代が幕をあけた現在でも、コーンポタージュの人気は衰える気配すらありません。なぜコーンポタージュはここまで人気になったのか?これはもう、「ただただ美味しいから」以外の理由はありませんね。