ヨーロッパで花開いたスープの歴史
ヨーロッパで花開いたスープのはなし
スープの歴史は紀元前、土器の出現にまで遡ると言われています。土器を作れるようになって初めて、「食材を水で煮込む」というスープの調理法が確立したというわけです。
古代ローマ帝国でも、人々はスープを食べていました。古代ローマの美食を集めた「アピキウスの料理帖」には、当代きっての美食家・アピキウスが考案したスープのレシピが残されています。裕福な貴族階級に生まれ、美食の虜になったというアピキウス。お金に糸目をつけず、食材や調理法を研究し尽くした彼のスープとは、一体どんなものだったのでしょう?ちょっと興味が湧きますね。
さらに中世になると、ヨーロッパではブイヨンが食べられるようになります。今で言うブイヨンは、肉や香味野菜からとる「出汁」のことですが、当時は「肉を煮た煮汁」のことをブイヨンと呼んでいたようです。中世のブイヨンは今に比べ、ずっと野性味溢れる味わいだったことでしょう。
そして15世紀には、みんな大好きポタージュが登場します。コーンポタージュやヴィシソワーズなど、フレンチのコース料理には欠かせないポタージュですが、その原型は15世紀にまで遡るんですね。とはいえ、この頃のポタージュは「鍋に入っているもの」という程度の意味しか持たず、現在のポタージュとは程遠いものだったようです。
時代が下るにつれ、料理は複雑かつ繊細になっていきます。その過程の中で、前述の「肉でとった出汁(ブイヨン)」に、野菜などを加えてさらに出汁をとるコンソメが、人気を集めるようになっていきます。コンソメはフランス語で「完成された」という意味。たくさんの材料が生み出す奥深い味わいと、丁寧にアク抜きされた透明スープ。手間暇かけて作られたコンソメは、まさに「完成されたスープ」だったのでしょう。
和食を支える麹の存在
一方、日本でも、紀元前の昔から人々の食に多大なる影響を与えた存在がありました。それは、今でも私たちの食生活に欠かせない「麹」です。醤油・味噌・酢・日本酒…、これら日本独自の発酵食品にはすべて麹が使われています。麹とは、蒸した米や大豆などに麹菌を繁殖させたもののこと。顕微鏡もなかった時代から麹を利用していたなんて、なんだかちょっと不思議ですね。
麹という漢字は中国から伝わったものですが、日本人に身近な米麹には「糀」という漢字が当てられることもあります。糀という漢字は、菌糸が繁殖した米麹を「米の花」に見立てた、日本独自の漢字。確かによく見てみると、米麹は真っ白なお花のようです。米の花と書いて「糀」、とても素敵な感性ですね。
話は逸れましたが、麹には生命維持に欠かせない大切な酵素がたくさん含まれています。現在でもサプリなどの健康補助食品として人気ですが、摂取した栄養をエネルギーに変えたり、新陳代謝を活発にしたり、酵素にはいろんな機能があると言われています。なかでも米麹には、デンプンをブドウ糖に分解するアミラーゼ・たんぱく質をアミノ酸にするプロテアーゼ・脂肪を分解するリパーゼなど、じつに30種類以上もの酵素が含まれています。
また、栄養面だけでなく、酵素は和食の味を陰で支える重要な存在でもあります。というのも、日本が誇る第五の味覚・旨味は、酵素の働きがあってこそ。酵素が食材の栄養素を分解することで、旨味の元となるアミノ酸を作り出しているのです。
「旨味の効いたお出汁を飲むとホッと落ち着く」。そんな日本人のDNAに刻まれた食の記憶は、麹が作り出した日本人の心の絆なのかもしれません。
西洋のスープに日本の米麹が出会う、マーゼルマーゼルの美味しいスープ
マーゼルマーゼルのスープには、水も砂糖も使われていません。使われているのは、大地の恵みがたっぷりつまった34種類の国産野菜と米麹のみ。たくさんの野菜をコトコトとじっくり煮込み、素材本来の味わいを丁寧に引き出しています。洋食でありながら毎日食べても飽きない、どこかホッとする優しい味は、日本の旨味がプラスされているから。スープに米麹が活きているからなのです。
紀元前の昔から重宝されてきたスープと麹の出会い、それがマーゼルマーゼルのスープです。